(2)良くも 悪くも [自分自身]


(第2回)良くも 悪くも

―自分で嫌だなと思うところから恩恵を受けていることがあるんですね?

 そうですね。例えば、他人と距離を取る人がいたとしましょう。その人は他人から見れば「引っ込み思案」に見えるかもしれませんね。

 しかし、実は本人は自分が攻撃的な言葉を使ってしまったり、他人と関わることでイライラしやすいことを把握しているのかもしれません。

 そこで、自分も他人も傷つけないために、人を遠ざける性格を作り上げたのかもしれないということが推測できるわけです。

 その人はこのように他人との深い関わりを回避することによって、何とか自分のペースで生活することを獲得していると考えることもできるわけです。

 つまり、本人は「引っ込み思案な自分が嫌だ」と訴えていたとしても、実は「引っ込み思案」なスタイルを取ることで自分を守れているという恩恵を受けていることが考えられるということです。


―「良くも悪くも」と気づくことで、少しずつ変わっていけるのでしょうか?

 そうですね。少し楽になれるのではないかと思います。

 例えば取り除きたい性格であったとしても、この性格のおかげでなんとかなることがあったとか、この性格だからこうなってしまったという過去があったとわかっていくとき、「結構、辛かったけれど、そこを生き延びてきたんだな」と言う風に考えていけることがあります。

 そして、そこでもう一度、現実に戻り「今まで何とかやれてきたなあ」という風に思えると、今までただ拒絶していただけの自分の性格が、「悪いだけではないかもなあ」というところに、落ち着けることがあります。

 落ち着くことは、現状を受け入れることになりますので、そこからまたスタートできるようになります。

 ただ切って捨てればいいということではないということに気付く方が多いように思います。


 性格の変容は、カウンセラーが意図的に変えるわけではありません。

 また、相談者の方が無理やりに性格を変えよう取り組んだとしても、今までとっていたバランスがあるので、突然変えようとすると、生きていくためのツールを失うような状態に陥ってしまうことがあります。

 そうすると大抵の場合、余計に元の性格を強めてしまうことが多々あります。

 ですから、まず今ある性格を受け入れてから、本当に自分が望んでいるものへ取り組んでいくことが必要になります。

 受け入れることで、自身が持っていた執着は結果的に落ち着くことが多いです。

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 それを踏まえ、今後の人生をどのように生きていきたいかを考えていくことで、変わる必要があるのか、変わらないでいいのか、また、変わりたいか、今のままでいたいかに取り組んでいくことができるようになります。

 ただ、「このパーソナリティが良いもの」「これが悪いもの」ということは決してないということは知っておく必要があります。

 それぞれが「適応の一形態」なわけです。しかしもちろん、人に迷惑をかけたり、生というものに対して、傷つけたりすることは、正しいこととは言えませんね。

 そして、生きていく中で、常に状況は変化していくことを認識できるといいでしょう。自分だけでなく他人も変わります。他人に対してもこうだと決めつけることが不具合の元になっているかもしれませんね。

 誰しも、「素晴らしい人」とか「こうありたい」という人間像が心の中にあるものです。それが「これがベスト」という思い込みを生みがちです。

 しかし、決してそういうものはなく、誰しもが素晴らしくて特別な存在です。つまり、自分も特別な存在だということです。

 自分が特別な存在であるということは、他人もそれぞれ特別な存在なわけですね。すると、みんな特別な存在なわけです。

 このことを知っておくことは人生をいいものにするのに役立つと考えています。


―受け入れてから、まず一歩、取り組んでいくには、どのように考えたらいいでしょうか?
明日に続く。(インタビュー:hashimoto.bizカウンセリングルーム(埼玉県)橋本 真利カウンセラー

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※本文は、橋本カウンセラーへのインタビュー内容です。(2009年7月現在)
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