(2)無 用 の 用 [自分自身]
(第2回)無 用 の 用
―益子カウンセラーが、カウンセリングで特に重点を置かれていることはどのようなことですか?
よく言われるネガティブシンキング、ポジティブシンキングと言われる考え方がありますが、私はメタポジティブ思考という考え方を重視しています。
クライエントに対して、『今、ココ』(現実)というのを重点に置いてもらいます。
『ネガティブシンキング』は、過去の忌まわしい記憶に囚われ、今現在に意識が集中できずに、『またきっと失敗するに決まってる』という考え方です。
過去に囚われ過ぎて、今の自分の良さや今の幸せを見逃しています。そして過去の記憶に振り回されて疲れてしまいます。
『ポジティブシンキング』は、積極性とか、今は手元にないけど、がんばって絶対手に入れるぞ、的な考え方です。
でも、今現在は手元に無いもの(未来)に意識を集中してばかりいるので、疲れてしまいます。そして辛くなってしまいます。
それに対して、『メタポジティブ思考』は、今手元にあることに意識を集中させる。
つまりポジティブシンキングは『今は平社員だけど、絶対社長になってやる!』
メタポジティブ思考は『今は平社員だけど、大切な人が傍に居てくれる』今ある事、今の自分の状態をポジティブに考えるという事を大切にしてカウンセリングをしています。
―では、カウンセリングはどのようなときに利用したらいいのでしょうか?
これは、私の実体験なのですが、夫が心因性鬱になった事があるのです。それも劇的な大事件に巻き込まれたのです。
そのときの私は今起こっている現実が受け入れられず、かといって誰にも相談出来ずに、私自身も鬱になってしまいました。
今の自分の『立ち位置』を見失っていた私は夫に対しては『頑張れ!何をしているの?』と一番言ってはいけない言葉を投げかけていました。
あるがままの現実を見れなくなって、内側の悪い想像ばかりが思い浮かび、『自殺』まで考えていました。
そんな時に私はカウンセリングを受けて『今の自分の立ち位置』に気づくことが出来ました。
私たちは全く『自殺』なんてする必要も何もなかった事に気づけたのです。
こんな劇的な事でなくても、『ちょっと心が苦しい』時、『気持ちがモヤモヤする』時、それは友人であっても良いのですが、その時の解決にはなりますが、また同じ思考を繰り返してしまいます。
そうならない為にカウンセラーは『思考は変えられる』という事をクライエントと一緒に協同作業として訓練していくのです。
―劇的な出来事でなくても、カウンセリングを利用されるようになるといいと思いますか?
明日に続く。(インタビュー:こころのリラクセーション(神奈川県)益子 えりこカウンセラー)
※本文は、益子カウンセラーへのインタビュー内容です。(2009年7月現在)
※メタポジティブ思考
トニー・ブザン(Tony Buzan/ロンドン出身/1942年6月2日 )は、イギリスの著述家心理学、アメリカ文学、数学を大学で学んだ後、学術ジャーナリストとして活動し、1960年代には、メンサ・インターナショナルの国際的な機関誌の編集に携わっていた。これはIQが極めて高い人たちを中心とした団体の雑誌で、その仕事が元でBBCの教育番組の企画の相談を受け、その際のアドバイスを元に自分で一冊の本を執筆したのが、彼の本『頭が良くなる本』(Make the Most of Your Mind, 1977年)である。以来、彼はこの方面の番組、セミナーなどに多数出演、著書も多数ある。
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